「ただいま〜!」

 オレは玄関を力一杯開け、飛び上がる様に靴をぬぐ。



「なに、どったの?」

 オレが立てた音に何事かと、こなたが階段の上に姿を現す。

「別に〜♪」

 だけどオレはこなたの問いを適当に流しつつ、御目当ての人物を探し始める。



 自室・リビング・台所・屋根裏



 どこにもいない



「ゆ、ゆ、ゆ、ゆたかはどうしたぁぁぁぁぁ!?」

「ああ」

 少し錯乱気味のオレを見てようやく理由が分かったのか、こなたは声を上げ、言葉を続ける。



「ゆーちゃんならみなみちゃんの家でお泊りパーティ」

「なん、だと………?」

 そんな可能性をありすぎるくらいあるものを全く見落としていたオレは、ただただ呆然とするしか出来なかった。



「その様子だとまだゆーちゃんに誕生日プレゼント渡してないんだ?」

 こなたは1,2歩後ずさりながら、オレに尋ねる。

 どうやらオレの顔はよっぽどにひどいもんらしい

 まあ視界が少しぼやけて見えるから、薄々はそう思ってたけど



「別に明日渡せばいいじゃん」

「イヤだ! 今日渡す!!」

 オレの即答にこなたはお手上げのポーズ。

「いーじゃん、大切なのは心だよ、ゆーちゃんを想う心!」

 そしてこなたは明らかに面倒臭げな顔をした後に、オレの説得を試みる。

 なんとなく適当感が漂ってるけど、確かにこなたの言うことはもっともだ。



 大事なのはゆたかの誕生日を祝う心



「じゃあこなたは明日渡すのか?」

「ううん、今日朝渡したに決まってんじゃん♪」

 手をヒラヒラ、満面の笑みで答える女狐。

 こいつはからかってる、ぜぇっっっったぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃオレをからかって楽しんでやがる!!!



「こなたぁぁぁぁあぁ!!!!」

 オレの一振りを余裕綽々で後ろに飛び、かわすこなた。

 元々スピードはかなりのものなうえに、冷静さを欠いてる今のオレでは、こなたを捉えるのは難しい

 というかそんなことをしているだけ時間の無駄!



 オレは脊髄反射的にそう感じ、亜高速に迫る速さで自分の部屋へと入っていった。





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