「わ、わたし、何かいけないことしたんでしょうか?」

 わたしは恐る恐るおじさんとこなたお姉ちゃんに尋ねました。

 アスカさんはなにか怒っているみたいでした。

 原因はわたし、だと思います。

 アスカさんは攻撃的な目でこっちを睨んでいましたから、ただそれがなぜなのかは分かりません。



「気にしないでゆーちゃん。シンはだいたいいつもあんな感じだよ。

 でも今日はちょっと三割増しだったかな?」

 そう言いつつ首を捻るこなたお姉ちゃん。

 どうやらこなたお姉ちゃんにもアスカさんが怒ってる理由は想像付かないみたいです。



 どうしよう



 もし泉家でお世話になることになったら、わたしはアスカさんと仲良くなれるでしょうか?

 正直いうと、凄く不安です。

 アスカさんは凄く怖い人、わたしの頭にはそうもうインプットされていましたから。





「ゆーちゃん」

「はい?」

 こなたお姉ちゃんが食器洗いに立ったのを見計らったみたいに、おじさんがわたしに声を掛けてきます。

「シン君の事なんだがね、いつもはあんなんじゃないんだ。

 本当は優しい子なんだ、ただどうにも不器用でね」

 アスカさんの説明をしてるおじさんの瞳はとっても嬉しそうでした。

 それはまるで、自慢の娘のこなたお姉ちゃんの良いところを説明している時みたいに。

「そ、そうなんですか………」

 おじさんもこなたお姉ちゃんもアスカさんのことを本当の家族みたいに思ってるみたいです。

 わたしはそんなアスカさんを怖い人と思ってしまいました。罪悪感が心に積もります。

「シン君はね、家族を亡くしてるんだ」

「えっ?」

 そう語るおじさんの顔は一転して寂しいものでした。





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