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「ゆーちゃん、大丈夫?」
次に目を開けた時にはわたしが知っている顔がそこにありました。
こなたお姉ちゃん、わたしの従姉でとっても素敵なもう一人のお姉ちゃんです。
おそらくですが、こなたお姉ちゃんがわたしをここまで運んできてくれたみたいです。
じゃあさっきの男の人は暑さが見せた幻?
「もうすぐ晩御飯だけど、どうする?」
状況がいまいち掴めていないわたしに、こなたお姉ちゃんは優しく聞いてきてくれます。
「うん、大丈夫、食べられるよ!」
こなたお姉ちゃんがちゃんとした手当てをしてくれたお陰で、わたしの体調は家を出る前の状態にまで戻っていました。
「いきなり災難だったね〜」
「ううん、わたしもう慣れているから………」
慣れていても嫌なものは嫌なものですけど、こなたお姉ちゃんに愚痴っても仕方ありません。
そんなことを言えば、こなたお姉ちゃんをますます心配させるだけですから………。
「どう受かりそう?」
「まだなんとも…でもこのままいけば大丈夫だって、先生が」
わたしたちは歩きながらお互いの近況を話し合います。
こなたお姉ちゃんの話を聞くと、いつも高校は楽しいところと思ってしまいます。
わたしも高校に入ったら、こなたお姉ちゃんみたいに親友といえる人ができるのでしょうか?
「それでね〜この前あまりにもくさくってね」
「へーそうなんだ…あっ!」
わたしはリビングに着くなり思わず声を上げてしまいました。
そこには男の人がエプロンを付けて、料理を並べていました。
でもその男の人はおじさんではありません。
見知らぬ男の人、正確に言えばわたしが今日泉家で最初に見た人がいました。
「ゆ、夢じゃなかったんだ………」
それがわたしとシン・アスカとの出会いでした………。