「ああ、そりゃ掛けられまくったさ

 イタズラなんかしょっちゅうされてな」

 本当は答えにくい質問のはずなのに、お兄ちゃんは嬉しそうに話し出します。

 でもやっぱりつらいんだと思います。

 なぜならわたしがお兄ちゃんの方を見ると、お兄ちゃんは少し遠い目で流れている川の方を見ていたからです。



「よくもまあこんな下らないイタズラを思いつくもんだと思ったさ」

「あはは」

 自分でも分かるくらいに乾いた笑いでした。

 こんなのただの八つ当たりです

 自分の為にお兄ちゃんにつらい思いをさせて、わたしはすごく悪い人間です

 『妹』ととしてだけじゃなく、『女の子』としても



「でも嬉しかったぞ」

「えっ?」

 そこでお兄ちゃんはわたしの方を向きます。

 そこにはもう遠い目をしたお兄ちゃんじゃなく、瞳の中にわたしの姿を映してるお兄ちゃんがいました。



「だってイタズラでもなんでも、それはオレの方に向いてくれてるって事だしな

 やっぱり嬉しいもんだぜ、上としては」

「そうなの?」

 ずっと一番下のわたしには今一、分からない話です。



「だからゆたかが自作でプレゼントなんて渡したら、ゆい姉さん狂喜乱舞するぜ、きっと」

 でもお兄ちゃんが落ち込んでるわたしを、励まそうとしてくれてるのは分かります。

 ここでまた落ち込んだら、わたしは本当に最低な人間です

 兄妹でも甘えるのには限度があります。ましてやお兄ちゃんにはできる限り甘えたくないのです



 こなたお姉ちゃんが言ってました、こなたお姉ちゃんや先輩たちはお兄ちゃんと助け合ってるって





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