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と、格好を付けたのですが
「う〜ん、どうやっていけばいいのかな〜?」
わたしは食い入るように地図を見ながら帰路を歩いています。
最寄の駅は地図の端っこに描いてあるものの、そこから印刷会社まではどう行けばいいのか
バスがあるのか、それとも徒歩なのか
徒歩だった場合、縮尺を計算して見ると凄く不安な距離です。
「……どうしよう………、あっ!」
悩んでるわたしの視界から突然目の前の紙が消えてなくなります。
そして少し上から人の気配が
「なんだ、これ?」
不思議そうに地図を見てる人は、シンお兄ちゃん、血の繋がりはありませんけど、
居候先の泉家でわたしの兄代わりをしているとっても素敵な、……お兄ちゃんです。
「今度の休みにそこに行こうと思ってるんだけど………」
わたしの答えを聞いてお兄ちゃんは二、三度、わたしと紙を交互に見ます。
「その日はバイトもないしな、オレがそこに連れて行ってやる」
「えっ!? そ、そんな………」
わたしは自分の迂闊さを責めました。
優しいお兄ちゃんのことだから、わたしが困った様子をしていれば、そう言うのは予想できたのに………
この配慮のなさが、お姉ちゃんや先輩たちとわたしが明らかに差があるところです
「受験勉強ばっかで、インパルスをそろそろ動かそうと思ってたんだから、気にするな」
わたしの答えをお兄ちゃんは先読みして封じます。
ここまでされてしまうとわたしは断れません。
何よりおにいちゃんががっかりする顔を見たくないですから
「じ、じゃあ、お願いできるかな、お兄ちゃん?」
「ああ、まかせとけ」
お兄ちゃんは見る人が見たら凄く安心できる顔で、そう答えました。