「……何しにきたんだよ?」

 びっくりするくらいに低い声、まるで最初に会った時のシンちゃんみたい。

 あの時はお姉ちゃんやこなちゃんみたいに信じられる人がいたら、それは収まってた。

 でも今は、あの時よりももっと鋭い。

 誰も信じていない、目の前のものをすべてなぎ払おうとしてる。



「えへへ………」

「何が可笑しいんだよ?」



 いつもみたいにからかった様子じゃなくて、本当に迷惑そうな顔をするシンちゃん。

 すこし信じられない。

 これがシンちゃんの闇



「早く入れ、いつまでも家の前にいるのは邪魔だ」

 それだけ言うと、シンちゃんは家の奥へと消える。



 シンちゃんは戦ってるんだ



 シンちゃんがわたしを追い払おうとしなかったのは、したらわたしが困るって思ったから。

 こんな時でもわたしのことを気遣ってくれる、優しいシンちゃん





 だったらわたしは側にいるよ



 わたしは心に強く決めて、泉家の玄関に入っていった。





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