2
「……どうやって、お母さんに言おう」
すぐに決めちゃったけど、専門学校を休む口実が全く思いつかない。
学費を出してもらってるのに休むなんていけないこと、それは分かってるんだけど今のわたしはシンちゃんのことで頭が一杯。
「もう、案がないのに安請けしないの」
上に上る階段からの声に振り向くと、そこにはお姉ちゃんの姿。
「……聞いてたの?」
「たまたまね」
そして私の方に近づいて、耳元で囁く。
「でもそれでこそ私達を倒していった、シンの彼女よ」
「……お姉ちゃん………」
「私が口裏を合わせて上げるわよ」
「えっ? でも」
「簡単、簡単。大学の帰りにつかさと買い物に出かけるから遅くなるって言えば楽勝よ」
お姉ちゃんは手をひらひらとさせる。
やっぱりお姉ちゃんは頼りになるーっ!
「う〜ん、そういう相談は部屋でやってくれないかしら」
わたしたち姉妹はその言葉に肩を震わせる。
振り向くとそこには困った顔をしたお母さんが立っていた。
「こ、これは、そ、その………」
お姉ちゃんが言う前にお母さんが手で止める。
この時のお母さんはいつもの優しいお母さんじゃなくて、とても怖いの。
……それでもわたしは明日シンちゃんのもとへ――
わたしが自分の決意を言う前にお母さんは口を動かす
「学校をサボった罰として、つかさは明日の晩御飯は抜き、自分のおこづかいでどうにかしなさい」
「えっ?」
「それって………」
わたしたちの問いかけにお母さんはウインクをするだけ。
「ありがとう! お母さん!」
「あらあら、罰を言っただけなのにね
それと、かがみも晩御飯抜き!」
「えー!?」
「弁護士志望なのに、妹を悪の道に誘惑したんだから当然でしょ?」
「ううっ………」
「ごめんね、お姉ちゃん、今度代わりにクッキー焼くから………」
「その時は無添加、低カロリーでよろしく」
大げさに肩を下げるお姉ちゃんに、わたしとお母さんは顔を見合わせて笑ったの。
なにができるか分からないけど、わたしは明日シンちゃんの側へいます。