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「ご、ごめんね、寝ちゃって」
わたしはおでこ同士が、くっつくくらいの距離にいるシンちゃんに謝る。
シンちゃんを励ますはずで来たのに、こんなことしちゃうなんて最低だよ〜
「いや、構わないぜ」
でもシンちゃんは腹を立てる様子も全く見せずに、朗らかに笑ってくれたの。
「寝てる間につかさにイタズラしたから」
「えっ!?」
ちょっとスケベなシンちゃんのいたずら………。想像しただけでわたしの顔が赤くなってくるのが自分でも分かっちゃったの。
そんなわたしを見て、シンちゃんは今度吹き出したの。
「ウソだって。つかさHなこと考えたろ?」
「シンちゃんのいじわるー!」
わたしは体をシンちゃんの方に向けるとその厚い胸を軽く叩く。
こなちゃんの話だとシンちゃんの胸は『はーとぶれいくしょっと』っていう
すっごく痛いのを打ち込まない限りは大丈夫なんだって。
でも例えわたしがそれを使えたとしても絶対に、絶対にシンちゃんにはしないからね☆
「じゃあ、そろそろお暇するね」
いつもよりも少なくシンちゃんとじゃれると、わたしはベッドから降りた。
もうシンちゃんはいつものシンちゃん、あんなに暗い瞳にはもうならないって思ったから。
だから今度会うときはデートのとき。
「つかさ」
「なー…に………?」
振り向いたわたしはシンちゃんのとっても真剣な顔に驚いたの。
さっきまで笑ってたシンちゃんと全く違う、でも怖い、というわけでもなかったの。
そんなシンちゃんはベッドから素早く飛び降りて、引き出しから何かを取り出したの。
そしてわたしの方に近づいて、それを渡してきた。
「つかさの家でDVDって見れるよな?」
「う、うん」
「1人で見れる時ってあるか?」
「う、うん、パソコンがあるから………」
わたしはシンちゃんのよく分からない質問に頷きながら、DVDを手に取る。
何枚かに分かれてるみたいだけど、ケースの中にはタイトルは書いてなくて、ただ巻数だけが書いてあったの。
「次のデートまでにこれを見てほしい
1人でだ。かがみにも見せずに」
「お、お姉ちゃんにも?」
「ああ」
こんなこと言われたことなかったから、すっごくびっくり。
わたしとお姉ちゃんは双子だし、シンちゃんとお姉ちゃんは高校時代からの親友。
そんなお姉ちゃんにすら見せたらだめだって…このDVDには一体なにが入ってるの?
「別に気に入らなかったら途中でやめてもいい
ただ、最後まで見たら感想を絶対に言ってほしい」
すっごく不思議な頼みごと。でもシンちゃんの目はなにかを決意した瞳。
鈍いわたしでも、このDVDがわたしたちに関係するなにかってことくらいは、分かってしまうくらいに
「うん、分かった」
だからわたしもシンちゃんの赤い瞳を見たまま強く頷いたの。