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「すっごく焦った」
後ろから抱きしめられると同時に、聞こえてくる声。
冗談っぽく言ってるけど、ちょっとだけその手は震えていた。
「あはは、ごめんね」
時計は見てないけど、シンちゃんがこんなに心配するくらい時間が経っちゃているのが分かったの。
本当はすぐに部屋に戻る予定だったんだよ
でも、なんとなく除いた窓の外がすっごく綺麗で
でも、その景色の為にシンちゃんを起こすわけにはいかなかったの
「見てたのか」
「ごめんね」
わたしはこれ以上シンちゃんに窓の外の景色を見せたくないから、カーテンに手を掛ける。
「えっ?」
でもそれを止めたのはシンちゃん。
後ろを振り向くと、シンちゃんは少し困った顔をしながら笑ってた。
「別にいいさ、見てたいんだろ」
「でもシンちゃん、雪って嫌いなんじゃ………」
なんでもできるシンちゃんが唯一といっていいくらいに苦手なのは雪。
雪が降っていた所でシンちゃんは大切な人を一人、亡くした。
その人はシンちゃんにとって、大切で守りたい人だった。
そんな人を亡くしたことを思い出させる雪。
そんなのをシンちゃんに見せたくなかった。
本当だったらわたしも見ちゃいけないのに………
「つかさ」
シンちゃんの顔がわたしの肩の上にあった。