包んでくれている暖かさを感じなくなり、オレは目覚める。

 目を開けると、やっぱりそこにつかさの姿がない。

 やっぱりといったものの、その光景は寝起きのオレを元の状態に戻すのには充分なものだった。



 つかさがいつここから離れたかは知らないけど、かなりの時間が経っているのはなんとなくだけど分かった。

「クッ!」

 気合の中に焦りを入れた声を交え、オレはベッドから出る。

 恐らくきっと大したことじゃないはずなのに、こんなにも焦燥感に駆られるのは今の季節、冬のせいだ。



 大切な人が消えてしまう



 そんなことを考えてしまう

 理由は痛すぎるくらいに分かってる。

 でももうあんなことは起きないはずだ。



 今オレが生きている世界には、あんなことが起きる可能性がずっとずっと少ない世界。

 そして何より、オレがもう絶対にそんなことをさせないと決めたのだから



 なのに、オレの足は自然と速まる。

 トイレにもつかさの姿を確認できなかった時には思わず舌打ちが出た。



 まさかつかさが



 どうしても最悪の映像が頭を流れる。

 そんなことはありえないと否定しても



 だからリビングで窓の外を食い入るように見ているつかさを見て、心の底からホッとした。





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