「さっきのを見て、原因が分かったのか?」

「う、うん、だいたい原因は…十箇所くらいだから」

 オレの質問にメモを見ながら、つかさは答える。

 そんなにあるのか…オレ的には本通りにやったと思ったんだけどな………。



「まあいいか。じゃあ言ってくれ」

「うん、まず砂糖とかの分量だけど、適当に入れちゃダメだよ」

「なるほど」

「次に混ぜ方なんだけど――」

「ふむふむ」



「それでね、次はねー」

「つ、つかさ! ストップ!ストップ!」

「え? まだ後三つあるよ?」

「もういい、そんなにいきなり言われても分かんないって」

 実際、理解できたのは最初の3、4つ目くらいで、後のはどこの事を言われてるのか分からなかったし………。



「そ、そうだよね…ごめんね」

「いや謝る事ないって、聞きたいって言ったのはこっちだし。

 それにしてもつかさ、よく見てるなー」

「ううん、そんなことないよー。体が勝手に動いてただけだし…」

 それってかなりの達人の域だと思うんだけど………。

「なんにしてもオレはお菓子作りを甘く見てたみたいだ。てなわけで次からはよろしくご指導お願いします!」

「ふぇ? えっ? こ、こちらこそよろしくお願いしまする〜」

 わざとらしく頭を下げたオレに、つかさも妙な言い回しで返事をして頭を下げた。





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