「な〜にシンちゃん?」

「つかさ、ホワイトデーって知ってるか?」

「うん、知ってるよ…あっ、もしかしてプレゼント?」

 でもなんでわたしなんだろ? 頼みごとをする時あの人はだいたいお姉ちゃんやゆきちゃんに頼むんだけど………。

「ああ。お菓子を作ってかがみとみゆきに渡そうと思うんだが、作り方がな…なんとか教えてくれないか?」

 なーるほど・ザ・世界(ワールド)! だからわたしなんだ。

「うん、いいよ。喜んで〜♪」

あの人が頼ってくれるのがすごく嬉しくて、わたしは迷わずOKしたの。



「助かったよつかさ、ありがとな」

「でもシンちゃん、どこで作るの? こなちゃんの家? わたしの家?」

「どっちもダメだ。こなたやかがみにバレちまう」

「バレたらダメなの?」

「そりゃな。いきなり渡した方が驚くだろ?」

 そう言うと、あの人は子供みたいに無邪気に笑みを浮かべたの。

 あの人はいつもは大人なのに時々子供になるの。そこがすごく可愛いんだよ。

 そんなこというと怒るんだけどね………。

「とりあえず頼んだぜ」

 あの人の笑顔はとてもかっこよくて、わたしは顔を真っ赤にして頷くことしか出来なかったの。





 わたしたちは今、スーパーでお菓子の作りの材料を買ってまーす!

 こうして二人だけで買い物をしてると、か、カップルにみ、見えたら………、

 あの人に迷惑だよね…あの人とわたしとじゃ、釣り合いがとれてないもん………。

「どうしたんだよ? さっきから」

「ううん、な、なんでもないよ…シンちゃんはお菓子何を作るのかな〜、って」

「ホワイトデーを知ったのは今日だから何も考えてない」

「えっ、そうなの!? じゃあ先に本屋に行けばよかったねー」

「あっ、そうだったな。でもお菓子なんて基本の材料は一緒だろ? 足りなかったら、また買いに行けばいいって」

「うん、そだねー。じゃあ、必要なのだけ買うね」



 楽しい楽しいショッピングの始まり





「え〜と、砂糖と卵と生クリームと…それから〜あっ、クッキングパウダーもいるよね。ベーキングパウダーもいるよね〜後は………」

「ま、まだあるのか?」

 ゲンナリした口調であの人がわたしに聞いてきたの。

「う、うん。まだ全然足りないよ〜小麦粉小麦粉、っと」

「オレ、お菓子作りを甘く見てたみたいだ………」

 あの人は溜め息を吐きながら、そう呟いたの。





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