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やっぱり、シンちゃん怒ってるよね………
わたしが座っても振り向いてもくれない
本来だったら、店に行く前に色々なところで遊ぶはずだったのに、わたしのドジのせいで、中途半端な時間になっちゃったし………
「き、今日はみんな遅くまで帰ってこないから、大丈夫だよ、もっとくつろいで、ね?」
わたしの言葉にシンちゃんの体がピクリと震える。
はうっ!? もっと怒らせちゃった!?
だよね………、くつろげとかいっても、本当は遊びに行くはずだったんだもんね………
ど、どうしよ、シンちゃんの誕生日なのに怒らせてばっかりだよ〜!
こんなんじゃ、シンちゃんに愛想つかされて嫌われちゃうよ
どうにか、なんとかしないと………
「シンちゃん、ごめんね、本当に今日はごめんね」
「…………」
シンちゃんのすぐ側に座って謝るけど、やっぱりシンちゃんはこっちを振り向いてくれない。
それだけ怒ってるというのは、それだけ楽しみにしてったって裏返しなんだよね………
「つかさ」
ようやくシンちゃんがわたしに話し掛けてきてくれた。でも相変わらずシンちゃんは庭の方を見て、わたしを見ようとはしてくれない。
「ごめん」
シンちゃんのその言葉にわたしはうつむき拳を作る。
予感はあった、今日という日に大失敗、それに今日だけじゃなくていつもいつもシンちゃんに迷惑ばかりかけてた。
シンちゃんが愛想着いて、付き合うのを後悔するのは当たり前
でも、わたしは―――
その時、わたしの見えてる景色の上下が逆転する。
「えっ?」
見えるのは天井と、そして、シンちゃん………?
どうして、そんなに顔を歪めてるんだろう?
最初に頭に湧き上がったのがこれだった。
シンちゃんの顔はわたしが考えていた怒った顔なんかじゃなかった。
今にも泣き出しそうな顔。そして体全体が震えてる。
少し前に似たようなことがあったけど、あの時とは何かが違ったの。
シンちゃんはなにかを必死に抑えようとしてる………?
「シ、シンちゃん、どうしたの? どこか悪いの?」
「つかさ!」
「は、はい!」
シンちゃんはそこで少しだけ躊躇ってから
「お前が欲しい!」
シンちゃんの顔は瞳よりも真っ赤になってたの