「えっ!? ふぇぇぇぇぇぇぇぇー!?」

 さすがの鈍いつかさでもオレの今の言葉が分かったらしく、顔を真っ赤にして大きな声を上げる。



「えっ、でも、でもわたし………」

「ずっと我慢してた! こんな事してもつかさを泣かせるだけだって!

 でも、つかさと会う度に、どっかに行く毎に、この気持ちがどんどん大きくなってきて………!」

 決壊した水の様に、オレは自分の欲望の思いを止める事は出来なかった。



「でも、でも、オレみたいなのが、つかさを穢したら、そんな事したらいけないって………!」

 綺麗なものを汚したくない、元の世界にいたオレはそんな感情がなかった。

 そんなものは偽善の対象としか見れなかったからだ。



 でもそういう綺麗なものはちゃんとあって、それを守ろうとするから人間は生きていける。

 それを教えてくれたのが皮肉にもつかさという存在。



「……よかった」

 罪悪感からつかさの方を見る事が出来なかったオレだけど、つかさの言葉で首を上げる。

 そこにはいつもの笑顔にはにかみを足したつかさがいた。



「わたしてっきりシンちゃんから彼女として、女の子として見られてないって思ってた………」

「なっ! バカ!! そんな事あるか!!」

 思わぬ至近距離からのオレの大声に、つかさは驚き僅かに顔をしかめる。

「わ、悪い………

 でもそんなわけないだろ、だからオレはこうして今………」

 完全に言い訳にしかなっていない、付き合ってるから、彼女だからって何をしてもいいってわけじゃない

 ましてやオレの手は―――



「シンちゃん」

 驚いた事につかさは手をオレの背中に回してくる。

 まるでオレを受け入れてくれるかの様に



「わたし、シンちゃんのこともっともっと知りたいって想ってたんだよ

 もっともっとシンちゃんのこと感じたいって想ってたんだよ」

「……つかさ」

 欲望のままにつかさを押し倒した、それよりも責められる事はつかさの想いにも気付かず、自分1人で勝手に思い込んでいた事だ。



 オレはつかさとずっと一緒にいたいって想っていたはずなのに



「つかさ」

 相変わらず胸はメチャクチャ早く波打ってるし、口の中はやたら乾いてくる。

 でも勢いに任せて言ったさっきとは明らかに違う。

 本能も理性も同意している

「シンちゃん」

 勿論オレの彼女も

 

「オレはつかさが欲しい」

 つかさはオレの言葉に真っ赤になりながらも小さくコクンと頷いてくれる。

 その仕草はどこまでも可愛いく、オレを虜にする



「シンちゃん、誕生日プレゼント、受け取ってください」

 つかさの言葉にオレも小さく頷く。



 高揚する気持ちはもう抑えられそうになかった。





〜 F i n 〜   






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