祭の後片付けほどめんどくさいものはない

 気分がのらないし、自分がいかに浮かれていたからかを見せ付けられるみたいで

 とはいってもやらないという選択肢はない



「しかし、あれはないよな」

 朝のキッチンとリビングの惨状を思い浮かべる。

 どこから手をつけるべきかという思考を拒否するくらいに凄い光景だった

 こんな事なら、あいつ等に少しくらい後片付けをさせて帰らすべきだった

 てな事を思ってもまさに後の祭り



「お後がよろしいようで」

 溜め息と共に、ドアノブに手を掛ける。

 救いは明日は会社が休みという事か

 いや、この場合休日を使って部屋の片づけをしなくちゃいけないから、不幸というべきか

 せっかくつかさとどっかに行こうと考えてたってのに



 憂鬱な気持ちはオレから観察力を奪っていた。





「あれ?」

 思わぬ光景にオレは思わず目を擦る。

 リビングには散らかりまくったものが、どこにもなかった

 それどころかいつも以上に綺麗になっていた

 まさに、なんということでしょう、状態



 別に清掃会社に頼んだわけでもない

 とするとこれをやった可能性のある人物は1人だけ



「つかさに悪い事しちまったな」

 自分の誕生日パーティの後片付けをやらせちまうなんて

 なんで朝家を出る時に一言言わなかったのか

 いや言ったとしてもつかさは恐らく部屋の片づけをしていたはずだ

 オレが好きになったやつは、そんな超お人好しなやつだからだ



 ただ、つかさがそんなやつだからといって、甘えるわけにはいかない

 つかさにはここ1番というところでいつも助けてもらってるんだから





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