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オレは鞄の中から携帯電話を取り出す。
オレに出来るのはせめて明日どっかへつかさを連れて行って、喜ばせるくらいだ
いや、これだってオレがつかさの笑顔を見たいからという自分勝手な考えなのかもな
♪ これ以上〜♪
聞き慣れたつかさの携帯の着信音は何故かキッチンの方から流れてきていた。
「……まさかな」
キッチンに行くとそこには予想通り、テーブルに突っ伏したつかさと着信の知らせを伝えている携帯の姿があった。
おまけに夕飯の支度まで完成済み
「全く、待ってるんならもう少し頑張れないのかよ?」
現在の時間は夜の10時を少し回ったところ、帰宅時間にしては遅すぎるけど、成人が寝こけるという時間でもない。
いくら掃除で疲れたからといって1日中やっていたわけじゃないはずだ
それなのにこの有様、ぼやきたくもなる
「だいたい今日は泊まるって聞いてないぞ?」
ぼやき続けてはいるけど分かっている、自分が今笑みを堪えているという事を
つかさがオレの為にここにいてくれる、それがとても嬉しい
「ほぇふえ? シンしゃん、おかえ………、り」
最早夢の国へほぼ入国しつつもつかさは顔を上げる。
このまま寝ぼけまくってるつかさの顔を堪能してるのもいいけど、さすがにそれは可哀想だ
今日はオレの為に頑張ってくれたのだから
「ほらつかさ、寝室に行くぞ。明日はどっかへ行こうな」
「……うん、ひゃく、そくだよ………」
そしてつかさは完全に力尽きた。
オレは眠っているつかさの頬にキスをする。
これはつかさに秘密でいつもやっている、オレなりの誓いみたいなもんだ
つかさの笑顔がこれからもなくならないように
それと
「お休みつかさ」
つかさがいつも心地よい眠りにつけるように
〜 F i n 〜