つかさはオレの手を離すと、少し歩いてオレの方を向く。

「シンちゃん、もうサングラスはやめよ」

「ど、どうしたんだよ、突然?」

 オレは内心ギクリとしながらも平静を装いつつ尋ねる。



「そっちの方がつらいもん」

「つらい?」

「うん。だってシンちゃんがサングラスを付けてるのは、わたしに気づかれたくないからでしょ?」

「うっ………」

 オレはつかさの言葉に返答に詰まる。

 確かにオレがこれを付けてる理由はそれだ。

 ただつかさがそこまで真剣になる意味が分からない。普通は笑って言いそうな気がするけど………。



「シンちゃん」

 つかさがオレを呼ぶ声、それは純粋だけど悲しさとそして優しさが混じった声。

 オレはつかさの次の言葉を待った。

「シンちゃんはわたしが傷つかないように、そうしてくれてるんだと思うけど、そんなことしなくていいよ

 だってあの子はシンちゃんにとって大事な人なんでしょ?」



 つかさがなんの事を言ってるのかすぐには理解できなかった。

 そして気が付く、オレの行動に対してのつかさの反応の意味。

 その子はつかさの言う様に大切な子だった。それは今も変わらない。

 ただ、つかさの言った事は間違ってる、オレはそれほど格好良くも、一途でもない。





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