6
つかさの水着姿をみて、オレは自分が思っていた、いやそれ以上の結果に驚いていた。
まさか、これほどなんてな………。
「どうしたの、シンちゃん?」
手を繋いでいるつかさがこっちを見てくる。
その顔は少し不安気だ。
ちょっと挙動不信だったか?
「いや、なんでもない」
オレは動揺を気付かれないように、こういう時のために持ってきたある物をつける。
「あれ、サングラス? どうしたの?」
「ああ、ち、ちょっと、日差しがな」
実際は日の光のピークを過ぎているのだが、適当な言い訳をするオレ。
このサングラスという品物、正体はバレるけど視線がどこを見ててもバレないものだからこれで大丈夫なはずだ。
つかさも納得したらしくそれ以上は聞いてこなかった。
そしてオレ達は大海原へと着いた。
「ねえシンちゃん、つまらなくない?」
「なんでだよ?」
つかさがそんな事を聞いてきたのは2人で海岸を歩いてしばらくしてからだった。
「だって、シンちゃん泳げるのに………」
つかさの視線の先には、楽しそうに泳いでるカップルの姿。
「でもつかさは泳げないんだろ?」
「……うん、ごめんね」
「なんで謝るんだよ?」
別に泳げてないからといって楽しくないとは限らない。
それに今のオレはつかさとこうして手を繋いで歩いているだけでも、十分自分が幸せだと感じる事が出来る。
これもつかさのお陰だ。
「ほら、いくぞ」
ただ、それを言うのは恥ずかしいのでオレはぶっきらぼうに言うと、歩を少しだけ速める。
慌てて速度を上げる、つかさ。
その一挙手一投足が可愛い。
「シンちゃん?」
つかさの不安気な顔。
おっと、またジッと見てた。サングラスを付けているとはいえこれはバレるのも時間の問題か………。
「さて帰るか」
日も大分傾いてきたし、1日目で張り切りすぎることはない。
それにこのまま歩いていると、オレが海を選んだ目的を分かられそうな気がする。
「? つかさ?」
だけどつかさは何故か足を止める。相対的に手を繋いでいるオレの足も止まる。
「……シンちゃん…少し言っておきたいことがあるんだけど………」
つかさは迷いながらもハッキリと言って、オレをジッと見てきた。