「はぁー」

 溜め息すると幸せが逃げるってよく聞くけど、今のわたしはそんなのが気にならないほど、もう不幸です。

 シンちゃんをいきなり怒らせてのスタート。

 初めての旅行で相手の嫌な所が分かって別れる。

 この前のワイドショーでやってた話。

 そんなのいや!!! シンちゃんと別れたくなんてないよ!!!

 なんとか汚名挽回しないと………!



「に、似合ってるのかなーこれ?」

 そう決意しながら水着を着て、わたしは鏡の前でくるりと一回転をする。

 わたしの水着は泳げないから、泳ぐのには適していない白いワンピース風の水着、そしてスカートの裾の部分はオレンジ色。

 お姉ちゃんが言うにはオレンジはわたしのイメージカラーなんだって。

 これでシンちゃんがわたしのこと、見直してくれたらいいな………。



 ♪ やっちゃった なにもかも♪



 えっ? こなちゃん………? どうしたんだろ………?

 わたしは不思議に思いながら携帯を手にする。

『やふ〜つかさ! どう、シンとイチャイチャ、ラブラブしてるー?』

「そ、そんなことしてないよ〜!

 そ、それに旅館に着いたのはさっきだし………」

『あれ? シン随分早くに家を出たはずだけど?』

「ちょ、ちょっと、あってね………

 それでこなちゃんなにか用?」

 こなちゃんの指摘にわたしは慌てて話を逸らす。



『あーいや、ちょっとねー。つかさ、水着をワンピースとかにしてないよね?』

「え、えっ、ど、どうして?」

 わたしは水着が当てられたことにびっくりしつつも尋ねる。

『いやね、あの子がシンと海に会った時ってワンピースを着てたんだよねーだからさー』



 わたしはこなちゃんの言葉にもう少しで声を上げそうになったの。





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