「おいつかさ」

「えっ、な、なにシンちゃん?」

 今日の学校終了の礼が終わるとオレはつかさの席に近付く。

 用というのは、あえて言うまでもない



「オレに用があるんだろ?」

「えっ、ど、どうして………」

「そりゃ誰でも分かるだろ………」



 今日1日、オレに近付いてきては離れ、意味もなく名前を呼んでは内容のない会話。

 こんなのを繰り返してたら、さすがのオレでも分かる。

 一応本人から言ってくるのを待ってたんだけど、もう放課後、さすがに限界だ。



「困ったことか? 変なやつに言い寄られてるとか、神社の方に不審者とか」

「ううん、違うんだよ………」

 そう言って下を向くつかさ。

 ここで相手がこなたなら、怒鳴るところだけど

 つかさだったら不思議とそんな気持ちにはならない。



 とはいえ

 廊下に視線を移すと、そこには隠れているけど丸わかりに、こっちを伺っているこなた、かがみ、みゆきの姿。

 あの三人が何もしてこないところをみると、オレがなんとかしないといけないことらしい



「あ、あのね!」

「おう」

「G.W.ってあるんだけどね、そ、それがね、初日でね、わたし………、うっ、うわ――」

「つかさ落ち着け」

 すんでのところでオレはつかさの頭を撫でながらあやす。

 あと少しこの右手が遅れていたら、クラス中の視線はこっちに向いていただろう。



「ほらつかさ深呼吸」

 冗談のつもりだったのに本当に深呼吸するつかさ。

 相変わらず律儀なやつだ





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