2
結局、少しの時間ならということで、境内の方で夜の風を受けてくることになったの。
「うわぁ〜寒いよ〜」
冬だし、夜だし、寒いのは分かってるけど、神社ってなんかひんやりしてるよね。
身を切るとは違って、しゃんとする寒さ。
でも寒いのは寒いんだけどね
「あれ?」
こんな時間に人影。
わたしは思わず、狛犬さんの影に隠れる。
まさか、不審者?
服も赤いし、派手
でも一心にお祈りしてる………。
「よし」
男の人が振り返る。
服は知らないけど、顔は知ってる人だ。
「シンちゃん!?」
「つかさ!?」
不審者さんは、わたしの彼氏のシンちゃんだったの。
高校の卒業をきっかけにしてシンちゃんとは御付き合いしてるけど、こんな服をシンちゃんが着ているのを見たことがなかった。
でもすっごく着こなしてる様子で違和感がなかったの。
シンちゃんの瞳のように赤くて、長さは足くらいまである薄いコートみたいなんだけどデザインは見たことがないもの。
そして左の襟元には何かの紋章みたいなバッジ。それが月の光に反射して、綺麗だけどどこか哀しい、まるで最初のシンちゃんみたい
「ははっ」
シンちゃんが笑う。
優しい笑いでも、自嘲の笑いでもなくて、なんとなくの笑い、かな?
「似合うか、つかさ?」
そう言ってシンちゃんは両手を広げて見せたの。