オレの彼女は泣き虫だ



「そっかー、じゃあもうわたし泣かないね」

 つかさはそう言うと涙を引っ込め、笑顔をオレに見せてくれる。

 本当にころころと表情が変わる。

 そして結局なんのかんのいってつかさはまた涙目になるだろう。

 しかも自分の事ではなくてオレの事で。

 こんなにも心優しく、オレの事を想ってくれる人をオレは知らない。



「そういえばシンちゃんはなにをお願いしたの?」

 そんなのは決まってる。

 オレはつかさみたいに人が出来ていない。

「つかさとずっと一緒にいられますようにってな」

 つかさはオレの願い事を聞くと、より笑顔になる。

 この笑顔を見るだけでもオレは願い事をした意味があったと思える。

 それくらいに価値がある笑顔。



 オレの彼女はオレに元気をくれる



「えへへ、恥ずかしいよ〜」

 つかさは頬を掻きながら顔を赤くする。

 つかさの方がいつも恥ずかしい事をオレに言ってる気がするんだけど、そこは言うのと聞くのの違いなんだろう。

 オレとしてはつかさの恥ずかしがる姿を新年から見れて大満足だけどな。



「あう〜」

 オレの視線に耐えられなくなったのか、つかさがお得意の声を上げて走り出す。

 その走る姿もいかにも可愛い感じの走り方だ、と思ってるオレはすでに末期症状だな。



「つかさーこけるなよー!」

 もう少しで階段だ。

 つかさの場合言っとかないと転げ落ちる可能性が大いにある。

「大丈夫だよ、シンちゃん、あっ!」

 首だけこっちを振り向くなんて、器用な真似をつかさが出来るはずもなく、当然というかお決まりというかバランスを崩すつかさ。



 オレの彼女はドジだ





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