わたしの彼はとっても強い



「だからいいって、つかさがオレの事を分かってくれてる、それだけでさ。

 でもな」

「でも?」

「もしオレの印象が今より周りに良く見えたら、案外オレモテるかもな〜

 オレ遺伝子操作してるから、顔は悪くないと思うし」

「えっ?」



 そんなことになったら、シンちゃんに女の人が寄ってくる。その中にすっごく美人さんがいる。

 当然その人とシンちゃんは………。

「はう〜」

「なっ? まあつかさがそれでもいいっていうんだったら別だけどな〜」

 そう言ったシンちゃんの口調は完全にからかいが入ってる。



 わたしの彼は少しいじわる



「……いいよ」

「はい?」

 わたしの言葉にシンちゃんがからかったままの表情で固まる。

「そ、それでシンちゃんが幸せになるんだったら………」

 わたしは大好きな人に無理矢理だけど笑顔を作ってみせる。

 シンちゃんの過去を知っていれば、誰だって思う。

 この人はもう幸せに生きてもいいくらい頑張ったんだって。

 わたしはそのお手伝いが少しでも出来たら………



 ぽん



 わたしの頭に手がのせられる。

「そんな涙声で言われても説得力ないぞ?」

 シンちゃんはわたしの頭を優しくなでる。

 これはわたしが一番シンちゃんにされて嬉しいこと。

「それにつかさを泣かせた時点でオレはもう幸せじゃないんだから」



 わたしの彼はとっても優しい





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