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ちょっと遅くなちゃった…お父さんは今日は用事でいないけど、いたら怒られてたかも
でも、あ、あの後別になにもなかったんだよ!
ただ一緒に少しだけ夜景を見てただけなんだよ!! ……ちょっと残念
「ただいま〜」
「おかえりー」
わたしが家に帰るとお姉ちゃんかが居間から声を返してくれた。
お母さんたちはもう部屋に戻ちゃったみたい。
ひょっとしてお姉ちゃんわたしが帰ってくるのを待ってたのかな?
「ちょうど夜食にするところだったの。何か飲む?」
「うん!」
やっぱり気になってたんだ
わたしの中で、お姉ちゃんの最初の言葉がなんか言い訳みたいに聞こえた。
「どうぞ」
「ありがとー」
いつもとは逆でお姉ちゃんが入れてくれたホットミルク。
温かいミルクが外で冷えたわたしの体を温めてくれる。
少しの間、お姉ちゃんの走らせるペンの音と、時間を刻む時計の音に耳を澄ませる。
「シンちゃんに全部聞いたよ」
「どうだった?」
お姉ちゃんはペンを置いて、わたしの方に顔を向ける。
わたしの話を聞いてあげてるフリをしてるお姉ちゃんだけど、すごく聞きたそうにしてるのが様子からわかる。
「まだちょっと夢みたいっていうか、頭の中がぐちゃぐちゃ」
「大好きだったあのひとがデタラメ、そんな感じでしょ?」
「うん」
「私もそうだった」
正直に頷くわたしに笑いかけるお姉ちゃん。
そっか、お姉ちゃんはもう知ってるんだもんね
あの人のことで隠し事をするのはやめよう。それがわたしたちの中での決めごとだった。
だけど今回だけは別。でもそれでわたしは隠し事をされたって思ってない。
だってこのことは勝手に話したらいけないことだもんね
今までわたしに言えなくて、隠し事してお姉ちゃんも苦しかったんだと思う。
そしてこなちゃんもゆきちゃんも。みんな凄く優しい人たちだから。
だからあの人だけじゃなくて、これからみんなに少しでも迷惑をかけた分を返していけたらいいな
もちろんわたしなりの方法で
「はぁ〜なんかまた、強敵が強くなった気がするんだけど」
「強敵? 誰が?」
「あんたよ、あんた。ったく
今日は色々あったし、明日は早いんでしょ? もう寝たら?」
「うん、そうするね。おやすみなさい」
「おやすみー」
難しい考えは寝逃げでリセット! これに限るー!
そういえばお姉ちゃん、明日のわたしのすることがわかってるみたいだったけど、……わたしってそんなに単純なのかな?