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 いつもの集合場所に、いつもみたいに少しだけ遅れてくるこなちゃんとあの人。



「おはよ〜」

「おーっす」

「ちぇっ、また負けかよ」

「えへへ、勝っちゃった♪」

 それぞれに朝の挨拶をすませるわたしたち四人。

 うん、今日は久しぶりにとってもみんなといれて楽しく嬉しい日。



「シンちゃん」

 わたしはあの人に駆け寄ると、鞄からある物を取り出して渡す。

「あれ? 今日は金曜日だぞ?」

 そう、本当はお弁当を渡すのは昨日、木曜日。



「ここしばらく渡せなかったから、その変わりだよ

 でもね、お詫びって意味じゃないよ。これからもよろしくお願いしますって意味」



 それがあの人の宿題に対するわたしの答え

 これからもずっと、ずっと一緒にいたい



「なんだ、一緒かよ」

「えっ?」

 あの人は少しだけつまらなさそうな顔をして、鞄からラッピングされた袋を取り出す。

「言っとくけどお詫びじゃないぞ。これからもよろしくって意味だからな!」

「開けていい?」

 袋を受け取り、あの人が頷くのを見てからわたしは袋を開ける。



「うわぁ〜!」

 わたしは中身を見て、それを袋から外へと取り出す。

 そこに入ってたのは、白の水玉模様がついた黒くて、少し大人な感じのリボンだった。

 わたしの好きな白とあの人の黒。

 まるであの人の中にわたしがいるっていう意味みたい。照れちゃうな〜。



「ありがとう、大切に飾っておくね!」

「おいおい飾ったら意味ないだろう? リボンなんだから」

「あっ、そっか。……じゃあ大切な時にこのリボンをつけるね」

「ところでつかさ〜わたしたちにはそういうのないの〜?」

 こなちゃんが後ろから覆いかぶさり、恨めしそうな声をだしてくる。

 まさか! そんなことないよ!

「あの〜来週でいいかな?」

「いや、冗談のつもりだったんだけど〜………」

「ううん、こなちゃんにもゆきちゃんにもお弁当つくるよ!」

「それだったら来週は毎日早起きしないといけないわね〜」

「は、はうっ! が、がんばる!」

「大切なか…どんな時だ?」

 わたしたちの会話が一段落つくとあの人が聞いてきた。

 いきなりそんなこと聞かれても、急には思いつか………、ないこともなかった。

 あの人に笑いかけながら、わたしの大切な時を教えてあげる。





「例えばねー、好きな人に告白する時、かな」





〜 f i n 〜   






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