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「わ、わたし、またバカなこと言ったかな?」
オレがつかさの言葉に呆然としていると、つかさは不安になったらしく、オロオロした様子でこっちを見てくる。
まったく…勇気があるんだか、ないんだか分からないな
オレは答えの変わりに笑いながらつかさの頭を撫でる。
傷は塞がらない、でも癒す事は出来る。それをしてくれるのが目の前の少女を始めとした数人の少女。
癒し方はそれぞれバラバラだ
ただ共通して言えるのは自分にとってとても大切で変わりなんていない人達だという事。
負い目で守ってるんじゃない、守りたいから守ってるんだ
つかさのお陰でオレは伝えたい頼み事があっさり口から出す事が出来る。
「つかさ、オレは我を忘れてちまう事が多い。特にお前達の事になるとな
だからさ、その時はオレを間違ってるって止めてくれないか?」
これがオレの伝えたい事。
オレが力を振るう事しか出来ないのなら、それを制御してくれる人が必要だ。
そして、つかさ達ならきっとオレが無意味な力を振るうのを止めてくれる。
「うーん」
だけどつかさが返してきたのは返事じゃなくて、首を捻る事だった。
「そんな必要はないと思うよ」
「なんでだよ?」
「だってシンちゃんはどんな事があっても絶対にまちがったことで、力を使うことなんてしないもん!」
「そんな事ない。現にお前とかがみが襲われてたあの時だってオレは………」
もしあの時かがみが止めていなかったらあの男達をオレはこの手で………
「あの時だってお姉ちゃんが止めなくても、シンちゃんはあの人たちにあれ以上のことはしなかったよ
今日のだってそうだよ
どっちの人たちも痛がってたけど、どこも怪我してなかったもん!」
「あっ………」
オレはつかさの言葉に再び呆然となった。