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「うん、怖くない! 全然怖くないよ!!」
つかさは1歩オレに近付いてくる。
違うのはつかさの瞳に恐怖の色が全く見えない事だった。
それに気付いたのはつかさが話すためにオレと目が合わせた時だった。
それでもまともに会話したのが久しぶりだったから、オレはどう反応すればいいのか分からなかった。
「……ごめんなさい、シンちゃんをいっぱい傷つけて、酷いことしてごめんなさい………」
そんなオレの行動を怒ってると思ったのか、つかさは目に涙を溜めて何度も頭を下げてくる。
オレはした事はないけど、恐怖を抱いた相手に歩み寄る、その行動には多分物凄く勇気がいるんだろう
つかさはそこまでの事をしてオレに歩み寄ってきてくれた
だったら今度はオレが勇気を出してつかさに歩み寄る番だ
「つかさ、オレも同じだ。オレもつかさに酷い事をしてた」
つかさを見下していた、力がない、弱い人間だと
つかさの良さも分からずに、知ろうともせずに
それがどれだけつかさを悩ませ、傷付けていたか
「つかさごめん」
どれだけ謝っても足りない。
その上でオレはこれからつかさに頼み事をするのだから、とことん駄目な人間だ。
「つかさ、オレはすぐに人を傷付ける。でも我がままを承知で言わせてくれ
……オレ達の、オレの側にいてくれ」
「……いいの………?」
「勿論だ、頼む!」
「………
うん、喜んでー!」
頭を上げると目にはまだ涙が浮かんでいるものの、そこにはオレが長い事待ち望んでいた笑顔のつかさがいた。
「ありがとな」
オレはその笑顔を見て、全てを話す事を決めた。