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「つかさ、もう大丈夫なんじゃない?」
「う、うん」
こなちゃんが聞いてきた通り、わたしはあの人がもう怖いって思わなくなってた。
今ならわかる。わたしが怖いって思ってたあの人の顔は決意の証、大切なものを守る時にする顔。
だから今は純粋に嬉しかった
あの人がわたしを大切といってくれたことが
「……許してくれるかな………? シンちゃんも、みんなも………」
嬉しいと思ったら、次に浮かんでくるのがこれだった。
それだけのことをしてしちゃった
すごく迷惑をかけちゃった。
お姉ちゃんにも、こなちゃんにも、ゆきちゃんにも、あの人にも………
「もち☆
かがみんはシスコンだから問題なし
みゆきさんは完璧超人だから怒ってるわけがない
そしてわたしはつかさの覚醒イベントを見れたから、問題なし!」
こなちゃんは親指を上げて、ウインクをわたしに飛ばす。
その様子は嘘とか、慰めとかそんな種類のものじゃなかった。
「ただシンはどうだろうね〜、今回の一件はかなり傷ついたからねー」
「う、うん、そうだよね………」
「だからさ、悪いと思ったらどうするんだっけ?」
うなだれるわたしに、こなちゃんは悪戯の思いついた時の顔をして見てくる。
そうだよね、ちゃんと言わないとね
だって
わたしはもっと
ずっと
あの人と一緒にいたいから
「じゃあ行こ!」
「うえっ!? 今ですか!?」
「うん、シンちゃんの戦ってる姿を見ないと」
そこがスタート。
あの人のことをちゃんと見る、それがわたしの再出発。
「へーへー、一応フォローはするけど、見つからないようにこっそりが原則だよ」
「ありがとうこなちゃん!!」
わたしは頭を掻きながら頷いてくれた大切な親友の手を強く握る。
そしてわたしたちはあの人が消えた路地に入っていく。
あそこを曲がれば
そこになにがあってもわたしは驚かない、逃げない
強い決意の基にわたしは首を覗かせる。
「……えっ? ……あれ?」
わたしは物凄くまぬけな驚きの声を上げる。
わたしが見た光景は、倒れてる数人の男の人たち。
そして立ってるのはあの人、ただ一人。
…………
もう終わっちゃってる………