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あの人たちに捕まったら自分はどうされてしまうのか、それを考えると体が震え、恐怖が心を支配してくる。
今の自分にはせいぜい見つからないように、こうして体を縮込ませ息を殺すことしかできない。
ぽん
そんな時わたしの頭になにかがのせられる。
それがあの人の手だとわかるのに少しだけ時間がかかった。
暖かくて、強くて、優しくて、久しぶりの感覚
それは忘れようとしていた、とっても心地良い感覚
「2人共、絶対ここを動くなよ」
あの人はわたしの頭を数回なでると立ち上がる。
「おお〜シンかっこいい〜!」
「勘違いするな。殴られたばかりで終わったらオレの気が済まないからな
足手まといだから絶対来るなよ」
あの人は冷血な笑みをわたしたちに向けると、路地へと歩いて消えていく。
でもわたしはあの人がわざとあんな態度を取ったのがわかった。
そして照れ臭いからあんな行動を取っちゃうということも。
「ツンデレだね〜」
こなちゃんは肩をすくめながら、わたしの方を見てくる。
そしてわたしも小さく笑って、小さく頷いた。
さっきまでわたしの中にいた恐怖はどこかに飛んでいってた。
あの人が吹き飛ばしてくれた。
あの時聞こえた気がした、わたしを守るっていうあの人の心の声が