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「やっと言ってくれたな」
えっ?
声のする方を見るとあの人は笑ってた。
わたしのよく知ってる優しい笑顔を浮かべて
「やっぱり、つかさにはそう呼ばれた方がしっくりくるな」
どくん!
こんな時なのにわたしの胸の鼓動が早くなる。
忘れようとしていた、封印していた感情が
あの人の笑顔を見ると、勝手に封印を破って、わたしの体中を廻る
やっぱり忘れることなんてできない、みんなのことも、あの人のことも
そしてあの人が好きっていう感情も
こんな時に改めてわかっちゃうなんて………
「なに、すかした言葉吐いてんだ、こらーっ!!」
男の人があの人の行動に怒り再び殴りかかろうする。
「やめてーっ!!!」
それがわかってても、わたしには叫ぶことしかできない
あの人の足を引っ張ることしかできない
それでも、わたしは―――
「撃壁背水掌ー!!」
声が響く、いきなりのことにその場にいたみんなが動きを止める。
「がっ!?」
「きゃっ!?」
突然わたしを掴んでいた男の人が前に吹き飛んでいく。
「ふっふっふ………
悪い、ノックが強すぎたか?」
さっきまで男の人がいた場所にはこなちゃんが、鼻をさすりながら不敵な笑みを浮べていた。
「……ここからはクライマックスだぜ?」