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「頼む! つかさを放してくれ!!」



 わたしはその光景が信じられなかった。

 あの人は自分が間違ってないと思ったら決してそれを譲らない、わたしとは違って強い人

 それなのに、あの人は男の人たちの理不尽な言葉を受けて、土下座をしてお願いしてる。



 あの人が怖気づいたなんてとても思えない

 あの人はお姉ちゃんやこなちゃんやゆきちゃんのためだったらどんな、それこそ命をかけてまで立ち向かっていく強さがある。

 現にこの前だってたった一人で―――



「そうかい、そんなに大切なのかよ!!」

「ぐっ」

「っ!!!」

 男の人があの人の顔を蹴り上げる。

 あの人の口からは赤い血が流れる。

 それでも男の人は止めることなく、あの人を殴る。



 あの人だったら、この人たちを倒すことができちゃうのはわたしでもわかる

 でもあの人はそれをせずにただ殴られている………

 もしかしてわたしのせい………?

 わたしがあの人をまた怖がるって思って、土下座してただ殴られているの?



 そんな………



 わたしはもう関係ないんだよ!?

 どうして遠慮なんかするの!?

 わたしなんかのために傷つくなんて、だめだよ!!!



「おーい、おもしろそうだな。おれにもやらせろよ」

 別の男の人が腕を鳴らしながら、無抵抗に殴られてるあの人へと近づいていく。



「やめて!!」

 わたしは今まで生きてきた中で一番大きく、一番感情を出して叫ぶ。



「お願い、もう止めて!!! これ以上殴ったらシンちゃんが、シンちゃんが………!!!」

 声と一緒に涙が出る。



 大好きな人を傷つけて、自分のせいで大好きな人が傷ついて

 それなのにわたしはただ泣いて叫ぶ、あの人の力になにもなっていない………





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