21
あの人が来るまでは昨日のことを謝ろうと思ってた。
でもあの人の姿を見ると体が震えて、怖い、ということで頭がいっぱいになった。
……もうだめだ、完全に嫌われた………
ううん、そんなことよりも………
ごめんね、ごめんね、また傷つけちゃったね
わたしでもなにかの役に立つどころじゃないね
今もこんなに後悔してるのに、怖いって心のどこかでそう思っちゃってる
もう一緒に、笑えない、お話できない、お昼食べられない
だってわたし、あの人の顔が見れないもん
だからわたしはまたあの人を傷つけちゃう、あんな顔見たくない
大好きな人のあんな顔を………
傷つけたくない………
いっそあの人が冷たい人ならよかったのに
それだったらわたしことなんて、放っといてくれるし、気にもしないのに………
でも違う
あの人はいつだってすごく優しい。だからわたしなんかを守ってくれる
「どうして、どうして………」
優しいって知ってるのに、分かってるのに
あの人に笑いかけれない、見ることができない
キーンコーンカーンコーン♪
授業終了のベルが鳴る。
でもわたしにはこれが何時間目の終わりのベルかも分からない。
周りを見渡すと、机をくっつけたり、包みを持った人が教室に出たり入ったりしていたから、
そこでようやくお昼休みになったことが分かったの。
それでもわたしは立てなかった。
いつもみたいにみんなの、あの人の側にはいけなかった
怖かった。あの人が、わたしがあの人を傷つけることが―――
「なーにしてんのよ、つかさ、食べるわよ」
顔を上げるとお姉ちゃんがお弁当を片手に笑っていた。
そしてお姉ちゃんはそのままわたしの前の席に座る。
「……えっ、な、なんで………?」
「たまには二人で食べてもいいでしょ? 懐かしい感じじゃない?」
そう言うとお姉ちゃんはなにごともなくお弁当を広げる。
そんなお姉ちゃんの気遣いが嬉しくて、それと一緒に自分がものすごく情けなくて、今まで溜めていたものがでてきちゃったの。
「……ううっ…ひっく…ひっく…ううっ―――」
そんなわたしの頭をお姉ちゃんは優しくなででくれていた。