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そしてわたしは最後のスペースを埋める料理に取り掛かる。
ここはいつもわたしの挑戦料理。
今回はゆきちゃんから聞いた、玉焼きinうなぎの切り身。
前に作ったから、味は保障着き!
でもこれわたしの分のうなぎを残さないとダメなんだよね…みんなうなぎなんて残さないし………。
でもそんなのどうってことない、ない♪ あの人が美味しそうに食べてくれるんだもん♪
「ふふ、精が出るわね」
「えへへ。
でもお母さんって凄いよね。毎日こんなことしてるんだもん」
お母さんは平日だけじゃなくて土曜日も日曜日も朝早く起きて、みんなの朝ごはんを作ってる、わたしなんて一週間に一度だけ。
「そんな事ないわよ」
「あるよ〜わたしだったら絶対出来ないもん」
お母さんはわたしの言葉にくすっと笑う。
その姿はわたしたちと変わらない女の子に見えるのにとっても優しくて、大きくて、温かいもの。
「そうかしら? 大好きな大切な人の為だったらきっと出来るわよ」
「そ、そうかな?」
「今のつかさがそうでしょ。大好きな人のためにお弁当を作るために早く起きてる」
「だって〜シンちゃんともう約束しちゃってるから………」
「あら、私はシン君なんて言ってないわよ? かがみの事を指したつもりだったんだけど」
「あう〜」
またからかわれた〜
わたしとお姉ちゃんがあの人を好きってわかった時から、お母さんはあの手この手でわたしたちをからかってくるの。
「だから今のつかさは修行期間、大好きな人と一緒になるためのね」
でもちゃんとアドバイスもしてくれる。
これはわたしとお姉ちゃんに取って凄く有利だなって思うの。
「大好きな人………」
わたしの頭に光景が広がる。
その中でのあの人は新聞を読んでるの。
そしてわたしが朝食を出すと、新聞をたたんで、わたしとおしゃべりしながらそれを食べる。
あの人は料理も得意だし、時々は二人で料理を作ったり―――
「つかさ!!」
「えっ? あー!?」
お母さんの呼びかけに我に返ると、そこには焦げた卵。
「はうっ〜作り直しだよ〜」
わたしの想像からできたものは、わたしのお弁当に入ることが決定したの。