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「力はただの力だって言うのか………?」
昔とある人に言われた言葉が浮かび上がる。
今思えばそれはオレに言ったのではく、その人自身が自分に言い聞かせていたのかもしれない。
ただ、それだけ力というものは振るう事を考えないといけないというものは確かだった。
力は必要なもの、それがないと守りたいものを守れない
それがオレなりの『力』に対する解答だった。
もちろんそれはこの世界にいる今も変わっていない。
本当にそうか?
だけど1回過ぎった疑問は、石を投げ込まれた水面の様にオレの頭に波紋を拡げる。
この世界はオレがいた世界とは違う。力以外にも話す事で解決する手段がある。
それは皆を通してオレが学んだ事。
そしてオレはこの世界で生きていきたい、生きていく。そう願い、決意した
だがオレはあの世界で生きてた様に力を振るった。
さっきの事は他にやりようがあったかもしれない
警察に連絡して時間を稼ぐ
土下座でもなんでもして謝る
お金を渡す
上手くいけば、つかさに恐怖を抱かせずオレは拒絶されずにすんだかもしれない
勿論これは可能性の話だ。どれを選んでも上手くいかなかったかもしれない
ただオレはそれらのやり方を確かめもせずに力を振るった。それこそ戦うのが定めの戦士の様に
『運命』
強烈に脳裏に浮かび上がる2文字にオレは戦慄する。
「違う! 違う!! 違う!!!
オレは皆と今まで笑ってきた! こなたやかがみやみゆきや―――」
オレの弁解は途中で止まる。1人の少女の拒絶の顔によって
「……オレはどうしたらいいんだ………」
今のオレには全身を震わせ、情けない声を出す事しか出来なかった。