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「痛ッ! ……って、なんだよそれは!?」
オレは頭を叩いた主の方を振り向く。
そこにはかがみが、それでオレの頭を叩いたであると思われるハリセンを持って立っていた。
「もしもの時のために作って持っといたのよ!
いや〜ラノベも結構役に立つものね〜」
もしもってなんだよ!?
オレはあそこまで戦争バカになってないと思ってるんだけど………
等と数パターンのツッコミが頭に浮かぶが、それを叫ぶ前にかがみが先に言葉を挟む。
「私はもう大丈夫だから」
にこやかにそう言ってくるかがみ、まるで歳の変わらない弟をあやす様に、諭す様に
ハリセンで頭を叩かれて空気を壊されたからか、オレの怒りは霧散していた。
「運が良かったな、もし次にこんな事をしたら…分かってるな?」
哀れなくらいに涙顔でコクコクと頷く男、だけど同情する気なんて起きなかった。
「じゃあ、失せろよ!!!
お前達もだ!!!」
ヨロヨロと立ち上がる男達。
全員、気を失わせない程度にはしといた。
別に手加減をしたという訳じゃない。
そっちの方がより恐怖と痛みを記憶に残るためだ。
コイツ達はオレを恨むだろうが、ここまでしといたら普通のヤツは2度とこんな事はしないだろう。
デメリットがあるとすればオレに対する恐れや恨みが生まれる事だが、そんなもの今更1つ2つ増えたところで、オレは構わない
自分がどうなろうと、どう思われようと、大切な人達を守る
それがオレの決めた道なんだから
男達が完全に見えなくなったのを確認してから、オレは改めてかがみの方を振り向く。
「っ!!!」
オレの顔を見て、かがみは息を呑む。
別にそれが冗談とかでやっているのでないのは、かがみの顔を見たら理解出来た。
ただその理由がなんなのか分からなかった。
「……シン………」
困惑してると、かがみはこっちに近付いてくきて肩に手をのせる。
その顔はやはり真剣そのものだ。
何を言われるのか。
オレは小さく喉をならし、かがみの次の言葉を待った。
「大丈夫!? 瞳孔が開いてるわよ!?」
オレはかがみの言葉にマネケにも目を2、3回パチパチさせた。
すぐに自分が種割れ(こなた命名)状態になっている事に気が付く。
普段はその状態になってるのを意識出来るのに、今回は今まで全く気付かなかった。
それくらい頭に血が上っていた、という事なのだろう。
っと、そんなことよりかがみを安心させないと。
「これは前に話してたヤツだ。火事場のクソ力というか、純粋な怒りと穏やかな心というか、とにかくほっといたら直る」
「ああ〜あれね、へーそんなんになるんだー」
何やら興味深げにこっちを見るかがみ。ただその瞳には心底ホッとしたという様子が見て取れた。
危険にさらされてたのはかがみの方なのに、なんでオレが心配されてるんだ?
あまり人から心配された経験がないので、全身が例えようのないむずがゆさを覚える。
「もう、先に言いなさいよ! びっくりするでしょ!」
「どう言えるんだよ!?」
ただかがみの笑顔を見ると、この感覚も悪くはないと思った。