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5対1か。
オレは目を動かす事無く、敵のそれぞれの立ち位置、技量を把握する。
個人の力量はそれぞれそんなに差はない、一言で言うとどれも大した腕じゃない
オレやこなたなら簡単に倒せる相手だ。ただそれはあくまで1対1の時の場合だ。
囲まれたらかなりの力量差があった相手でも倒せる事が出来る。
その時は5対1という数字以上の有利さが生まれる。そうされたらこっちの勝率は格段に下がる。
それにあっちにはかがみがいる。人質にされたら………
なら―――
「なんだおま―――」
敵が言い終わる前に距離を詰める
囲まれる前に殺ればいい
拳をみぞおちに叩き込む
1人目
拳を引き抜きその場から右前に飛び込むと、着地した足で180度回転し、左エルボーを入れる
2人目
そして空いてる手で掌底を叩き込む
3人目
次の標的の顔を確認する
コイツはさっきつかさを危険にさらしたヤツだ
オレは飛び上がって一気に射程内に入り、男の頬を蹴り抜いた
最後の一匹
「う、うごくなぁぁ! こ、こ、これ以上動いたら!」
この段階でようやくかがみを人質にしようとするけど
もう遅い!!!
わめいてる間に距離を詰めていたオレはかがみを捕まえ様とする手を掴み、捻りあげる。
「してみろよ…もしそれでかがみに何かあったら………」
オレは捻っている手を少し上げる。
「い、は…て………」
敵は口をパクパクさせるが、こんなものではオレの怒りは収まらなかった。
コイツ達は、かがみとつかさを、オレの大切な人達を―――
「ストォォプ!!!」
ぱしぃぃぃん!
景気のいい音がオレの頭を媒体にして、周りに響き渡った。