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「――て言う事をかがみに言われてさ」

 放課後の教室、勉強会を始める前に向かいあって座っているみゆきに週末の端末を話していた。

「それは…かがみさんの言われる通りだと思いますが………」

「う〜ん………」

 少し困った顔をしつつ、かがみの肩を持つみゆき。



 さすがにかがみに次いでみゆきにもオレの意見を否定されると、もう一度考えざるを得ない。

 かがみが言いたい事をぶつけれる親友なら、みゆきは言いたい事を受け止めてくれる親友だ。

 二人ともオレとは違った視点を持っているので、その助言に助けられた事は多い。

 もっともこの世界に来た頃はそれが煩わしいと感じていたのだが。



「シンさんは先程私達には助けられてる、とおっしゃっていましたが、つかささんには本当にないのですか?」

 そう言われて改めてオレは頭の中でつかさとの出会いから、今までの事をまるでアルバムの様にめくって調べていく。



「……やっぱりないな〜」

 出てくるのは、つかさのおろおろした顔や困ってる顔、そして笑ってる顔が多かったけど、助けられたという事はついになかった。

 それでつかさの事をうっとおしいと思う様な事はなかった。

「そんな事はないと思いますが…私もつかささんには助けてもらっていますよ」

「みゆきがか?」

「はい」



 オレは疑いの眼差しでみゆきを見る。

 みゆきはオレ達の間でも、完璧超人、聖人君主、とまで言われるくらいの人間だ。

 基本的にはオレの助けなんてのもいらないはずだ、そのみゆきがつかさに助けられてる………?

 かといってみゆきがおべんちゃらを言ってるとは思えない………



「そうですね、例えば………」

「待った! 答えを教えてもらっても意味ないだろ? これはオレの問題だし」

 もしもみゆきの言う様にオレがつかさに助けられてるところがあれば、オレ自身で気付かなければいけない。

 つかさを大事に思っているのなら、なおさらだ。



「分りました。それでは行き詰まりましたら、またおっしゃって下さい。

 私の考えが参考になるかもしれませんから」

 勝手な理屈を言うオレに、みゆきは腹を立てる様子もなくいつもの微笑みを浮かべ、そう言ってくる。

 そんな仕草を見てると本当に同い年の少女なのかと勘ぐってしまう。

「シンさん」

「ん?」

「今、失礼な事を考えていませんでしたか?」

「うっ………」

 レンズの奥にある瞳が怖いんだが………





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