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キーンコーンカーンコーン♪
ついに4時間目終了、即ち昼飯の開始の合図がなった。
なんで学校で1番の楽しみな時間をこんな嫌な気持ちで迎えなきゃならないんだ………。
「さあ、始まるザマスよ!」
「それはもういいわよ。ほらつかさ」
「う、うん…どうぞアスカくん………」
怖々とオレに弁当を差し出すつかさ。
なんか凄く悪いことをしてる気がするのはオレの気のせいか?
「で、自信の方はどうなんだよ?」
「えっ!? え、えっとー一生懸命作ったよ………」
一生懸命で何もかも上手くいくんだったら、オレはジャスティスを何度でも倒せてるっての!
もっともつかさにこんな事言ってもムダだし、意味がない。だから嫌な事はさっさとすませることにする。
オレは観念すると、弁当を開けた。
中に入っていたのは、卵焼きやタコ型ウインナーといった弁当の定番のおかず達だった。
「なんか普通だね〜」
オレが思った事を変わりにこなたが口に出す。
「う、うん、やっぱり普段作ってる料理を食べてもらったほうがいいかな〜って………」
「は〜ん」
つかさの答えにオレは気のない返事をする。
大方、料理が出来ない言い訳だろ。この様子だと味の方も怪しいもんだな。
しかし最早ここで拒否するわけにもいかないので、オレは渋々箸を伸ばした。
自分で言うのもなんだけどオレは料理には自信がある。
元の世界でのアカデミー時代は、オレより料理が出来るヤツなどいなかった。
ところがこの世界に来てから、オレと同年代のヤツでオレより料理が上手いヤツがいた。
それがこなただった。
しかもこなは見た目、料理がまるっきり出来そうにない。
そんなこなたに負けた時のオレの気持ちといったら、人生でベスト10入りするくらいのショックだった。
ただオレもショックを受けただけでは終わらない。今オレは打倒こなたに向けて日々料理の特訓中だ。
それだけ料理好きで負けず嫌いのオレがありのまま、思った事を話そう。
鉄人は実在する! 何を言ってるか分からないと思うが、オレにはこんな表現しか思い付かない…頭がおかしくなってるみたいだ………。
味付けがどうとか焼き加減がどうとか、そんなチャチなものじゃ断じてない!
越えられない壁の片鱗を味わったんだ………。
「完食ですね」
「えっ?」
みゆきさんの声に我に返って弁当を見ると、すでに中身はなくなっていた。
「ねっ、胃薬いらなかったでしょ〜?」
「さーて、感想を聞かせてもらいましょうかねー?」
ニヤつきながら、こなたとかがみがオレに迫ってくる。
もちろんコイツらには分かってはずだ。つかさの料理の美味しさと、オレがなんて思っているかを………。
だが今それを認めれば、皆の前でつかさに謝らなければならない…そんな、そんな事………
「出来るかー!!」
オレはデスティニーを越える速さで教室を飛び出した。