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「お前人が良すぎるな。その内痛い目見るぞ」

「お姉ちゃんやこなちゃんにも似たようなこと言われる………」

 アスカくんがジト目でわたしを見てくる。

 怒るというより、呆れてるみたい………。



 ぽん



 えっ?

 わたしの頭にアスカくんの手がのせられる。

「痛い目見そうになったらオレに言えよ。

 大概の事はなんとかしてやるから」

 そう言ってアスカくんはわたしに笑いかけた。

 その笑顔はわたしが持ってるアスカくんのイメージとは違ってとても、とっても優しかったの。

 それにこうして頭をなでられるのは、お母さんやお父さんやお姉ちゃんたちにされたことはあるけど、

それとはまた違う感覚…不思議…でも、いやじゃない。

 アスカくんの優しさが伝わってくるから………。



「……あと、弁当美味しかった、ありがとな………」

「えっ?」

 わたしがアスカくんの方を見ると、アスカくんは顔を赤くしてそっぽを向いてたの。

 ……ひょっとして、照れてるのかなー?



「おそまつ様でした。また作ってきていいかな?」

「お、お前が作りたかったらそうしろ! オ、オレは残さず食べてやるから!」

 アスカくんはそっぽを向いたまま、ぶっきらぼうに答える。



 わたし間違ってた。アスカくんはクールで大人びてるけど、それだけじゃなくて、頼れて、優しくて………

「可愛い」

「ハァー!? つかさ今なんて言った!?」

「えっ? アスカくんって可愛いって………」

「取り消せー! 今の言葉をすぐにだ!!」

「あう〜!!」

 アスカくんはわたしの肩を持って、かっくんかっくんと揺さぶってきた。





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