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今からじゃ上手くバランスが…このままだと転んじゃう。
せめて荷物だけでも落とさないようにしないと………。
わたしは荷物を離さないように持っている手に力を込める。
そしてわたしは後ろに………。
「…………。
……あれ?」
「何が、あれ? だよ」
わたしが目を開けると、そこにはわたしを覗き込むようにアスカくんの顔があって、わたしの頭はアスカくんの胸にもたれてたの。
……アスカくんがわたしを助けてくれた………?
「また神社に来てくださいね」
「ありがとうねつかさちゃん、それとぼーいふれんどの人」
「ボーイフレンドなんかじゃないですから」
アスカくんは荷物を渡しながら、少しだけ目を吊り上げる。
あう〜またアスカくんを怒らせちゃったかも………。
「おや違うのかい?」
「はい…友達ですよ…ただの………」
えっ? 友達? わたしが? …どうして?
わたしはアスカくんの方を慌てて見るけど、表情からはいつもと一緒で少し怒っているみたいで、なにも分からなかったの。
「あらーそうなのかい?
だけど残念だね〜私が後五十年若かったらほっとかなかったのに」
そう言ってお婆ちゃんは笑いながら、バスに乗り込んだの。
「それじゃあ、またね」
「はい」
わたしは頷くと、手を振りながらバスを見送った。
「あのーアスカくん…あ、あのね、さっきはありが――」
「アンタ何やってんだよ!?」
バスが見えなくなってお礼を言おうとするわたしにアスカくんはなぜか分からないけど、すごい剣幕で怒ってきた。