きぃ



「おかえりなさ〜い!」

 ドアを開けるとオレの一番大切な人が文字通り飛びついてくる。



「おかえり、おかえり、シンちゃん!」

 なおも手に掴まりぴょんぴょんと飛び跳ねるオレの妻。

「つかさ落ち着け

 オレはまだ、ただいまも言えてないぞ」

「へっ? ……あははは」

 恥ずかしげに笑う姿を見ると、こっちもついつい笑みを浮べちまう

 さっきまで感じていた寒さはどこにもない



 ばさっ



「はうっ!?」

 着ていたコートを頭に被せると、わたわたしだすつかさ

 それでもコートを手に取り器用に折りたたんでいく。



「もう〜シンちゃん―――」

「ただいま」

 顔を覗かせると同時に、オレはそう言ってやる。

 つかさは不意をつかれて、大きく瞬きをしていたけど



「おかえりなさい」

 すぐに笑顔でそう返してくれていた。



 むずっ



「ほら、シンちゃん、きてきて」

「な、なんだよ?」



 そして俺の手を握ると、大切な妻であるつかさは珍しく強引にリビングの方に引っ張っていった。





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