「ちょっと早く来すぎちゃったかな?」

 わたしが沢山の人をかわしながら(三回ほど流されて駅に戻っちゃたのは内緒)待ち合わせ場所のハチこう前に着いたのは、

待ち合わせ時間より一時間早かったの。

 でもいつもデートの時はシンちゃんが早く来ていてわたしを待ってくれてるし、たまにはわたしが待つのもいいかな?

 そんなことを思いながらわたしはハチ公像に笑いかけた。



「シンちゃんまだ〜?」

 わたしは十分程待ったくらいで泣きそうな声を上げていた。

 だ、だって、周りはカップルばっかりで一人でいるのはわたしだけだし、

空は暗くなてくるし、まるでわたし来ない人を待ってる人みたいだよ〜。

 こんなに待ってるのがつらいなんて〜シンちゃんごめんね。

 今度からは少しでも早く来るから〜早く来て〜!!

「そ、そうだ! わたしプレゼントちゃんと持ってきたかな?」

 わたしはカップル達から目を背けるようにして自分の鞄を覗く。



 その時わたしの頭に何かが触れる。

 上を見上げると空から小さな白い玉が降りてきている。

「あっ、雪だ」

 ホワイトクリスマス。それはもっともロマンチックなクリスマス。普通なら感激するところだし、わたしも憧れていた。

 好きな人とこんなロマンチックな日を一緒に過ごせたらいいのに、って。

 でも確かシンちゃんは………





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