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「よし、こんなもんかな?」
「シン、顔がニヤついてるよ〜」
鏡で自分の服装をチェックしていると、後ろからこなたが顔を覗かせる。
「そうか? でも仕方ないだろ? つかさと会えるのは1ヶ月ぶりだからな」
元々学費を払うためにバイトをやっていたが、この日のためにオレはいつも以上にバイトを入れた。
その為、つかさと会うのは久しぶりだ。
「案外会ったら、つかさに新しい彼氏がいて『誰?』って言われたり〜。女は怖いよ」
「……そんな事つかさに言われたら、オレ、ハチこう像に頭ぶつけて死ぬかも………」
「ごめん! うそ! 冗談!」
オレが体育座りしたのを見て、慌ててこなたが励ます。
「ホントか?」
「ホント、ホント。つかさはそんな子じゃないし、それに………」
そこで言葉を区切るとこなたは少し遠くを見る目になった。
「シンとつかさはそれくらいで切れないよ。そんなヤワな絆じゃないじゃん」
「ああ…だな」
それは頭では分かっているのだが、つかさに会えない日が続いていたからついつい暗い気分になってしまった。
どうやらオレはかなりつかさに依存しているらしい。
まあ無理もないか………。
「さて、行ってくるかな」
「シン明日は泉家のクリスマスパーティだからね。シンはつかさのものだけど、私達の『家族』でもあるんだから」
『守るべき愛する者』と『家族』自分がこれをもう一度持てる事になるなんて、この世界に来た当初は思ってもいなかった。
心の底から思う、こなたに、皆に、会えて良かったと、そしてつかさに。
「じゃ行ってくる」
「いってら〜つかさによろ〜」
オレは振り向かずに手を上げて外に出た。