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「おお〜凄いね、つかさ」
「壮観な眺めですね」
「まあ私達には縁がないものだったからね」
「ど、どうしたらいいんだろ〜? ………」
どこか楽しそうな声を上げるみんなと違って、わたしは泣きそうな声を出す。
机に入っていた便箋は一枚だけど、全部で三枚、わたしはラブレターをもらったことになったの。
もうどうしていいか、全然わかんないよ〜
「ほ、ほら、つかさ。これ別にラブレターじゃないかもしれないじゃない?」
「そうそう、イタズラとかね」
「案外日頃の感謝のお手紙かもしれませんよ」
わたしの様子を見てみんなが口々に慰めてくれる。
でも、みんな決して目を合わせてくれない。
「んなわけないだろうが」
『うっ………』
あの人の鋭い突っ込みにお姉ちゃんたちが呻いたの。
やっぱり、どう考えてもこれラブレターなんだよね………
それにしても、あの人なんか今日怒ってるような………
「机の中のといい、つかさこの三人とは話したことはある?」
「そんなにつかさと喋ってる記憶はないよね」
「ということはやはり、あのバレンタインが原因なのでしょうか………」
バレンタインにわたしはB組のみんなに、小さなチョコレートを渡したの。
B組にはこなちゃんやゆきちゃん、あの人がいるからっていうのもあったけど、わたしは三年B組っていうクラスの雰囲気が大好きだったの。
だから、みんなに感謝の意味を伝えたかったからしたんだけど
でも、まさかそれがこんなことになるなんて………
「あんなあからさまに義理って感じのチョコだったのに間違うもんなのかしらね?」
お姉ちゃんがわたし以上に考え込む様子で腕を組む。
「女の子からもらった経験がないと義理か本命か分からないんじゃない?
それにそれでもかがみの本命よりは出来がよかったからね〜」
「うっさい! でつかさ、当然全部断るんでしょう?」
「えっ!? ……でも、せっかく告白してくれてるんだから…そんな簡単に断ったら悪いよ………」
突然答えを求められたわたしは、しどろもどろになりながらも自分の思ってる答えを言う。
「でもさー結局断るんだったら一緒じゃない?」
「確かにそうですが…やはり、好意を見せて下さる方に、そう簡単にはいかないと思います」
「あんたも黙ってないで、なんかつかさに言ってあげなさいよ
あ、あんた、い、一応、そ、その、か、彼女いたんでしょ?」
解決手段を見つけられないわたしを見て、お姉ちゃんが今までずっと不機嫌な顔をしてるあの人に意見を聞いたの。
でもあの人はなにも言わなかった。