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17


 つかさの姿が見えたのは、いい加減素数を数えるのにうんざりしてきた時だ。

 といっても待ち合わせ時間までにはすこしばっかり早い。

 でもつかさだったら



「ご、ごめんね~遅くなって」

 予想通り謝ってきた。

「大丈夫だ、まだ早い」

 頭を撫でると、つかさは笑う。

 それを見るといくらかの硬さが体から消える。



「悪いな、急にこんなに早く呼び出して」

「ううん、そんなことないよ………、わたしも話があったから」

 いつもの口調だけど、瞳に宿る意志の強さ、そしてつかさが付けているいつもとは違うリボン。

 確かこのリボンは………。

 いや、物事は常に最悪という部分を想定しておくもんだ。

 ただつかさが何か大切なことが今日あるってのは理解出来た。



「そ、それで、は、話ってなーに?」

 走ってきたからか、赤みが帯びた顔でつかさは尋ねてくる。

「あー、ま、まあ、大した事じゃないんだけどな。

 こ、この前の、あれ、ラブレターの件どうしたんだろ? ってなー」



 …………

 違うだろ!? 全然大したことあるし! オレにとってもつかさにとっても大事だし!!

 もっと言い方ってもんがあるだろ、練習しただろオレ!?



「う、うん………、あのね………」

 いかに誤魔化し、軌道修正するかにOSを書き換える時よりも頭を使っているオレに、つかさが話し始める。

 しまった! ここで話を遮ると気まずくなるし、これはつかさにとっても話したくない話題のはずなのに



 このバカ野郎!!!



 あの時は無線越しでくぐもって聞き取れた声が、何故かはっきりと脳内で再生された。





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