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つかさの姿が見えたのは、いい加減素数を数えるのにうんざりしてきた時だ。
といっても待ち合わせ時間までにはすこしばっかり早い。
でもつかさだったら
「ご、ごめんね~遅くなって」
予想通り謝ってきた。
「大丈夫だ、まだ早い」
頭を撫でると、つかさは笑う。
それを見るといくらかの硬さが体から消える。
「悪いな、急にこんなに早く呼び出して」
「ううん、そんなことないよ………、わたしも話があったから」
いつもの口調だけど、瞳に宿る意志の強さ、そしてつかさが付けているいつもとは違うリボン。
確かこのリボンは………。
いや、物事は常に最悪という部分を想定しておくもんだ。
ただつかさが何か大切なことが今日あるってのは理解出来た。
「そ、それで、は、話ってなーに?」
走ってきたからか、赤みが帯びた顔でつかさは尋ねてくる。
「あー、ま、まあ、大した事じゃないんだけどな。
こ、この前の、あれ、ラブレターの件どうしたんだろ? ってなー」
…………
違うだろ!? 全然大したことあるし! オレにとってもつかさにとっても大事だし!!
もっと言い方ってもんがあるだろ、練習しただろオレ!?
「う、うん………、あのね………」
いかに誤魔化し、軌道修正するかにOSを書き換える時よりも頭を使っているオレに、つかさが話し始める。
しまった! ここで話を遮ると気まずくなるし、これはつかさにとっても話したくない話題のはずなのに
このバカ野郎!!!
あの時は無線越しでくぐもって聞き取れた声が、何故かはっきりと脳内で再生された。
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