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「昨日はびっくりしたよ〜」
 高校生活最後の制服をわたしにしてはテキパキと着る。
 昨日わたしが卒業式にあの人を呼び出すためにメールを打とうとしてたら、あの人からメールが着たの。
 メールには場所と時間、そして『話したいことがある』、それだけが打たれてた。
「なんだろ?」
 あの人がなにを話すかは全然わからないけど、あの人から誘ってくれてラッキー! ……じゃないよね………
 わたしはあの人にメールを打とうか、どうしようか五時間も考えたの。でも、結局打てなかった。
 ほんとわたしって意気地がない。お姉ちゃんだったらきっと簡単に打てたんだろうな………
「いけない、いけない」
 今はみんなと比べたらダメだよ! 今日はわたしだけのことなんだから
 わたしは引き出しから箱を取り出す。
 中身は黒で白の水玉がストラップされているリボン。
 半年くらい前にもらったんだけど、まだ一回も付けてない。
「こんなに早く使うなんて思ってなかったよ」
 わたしは一人じゃなんにもできない。お姉ちゃんやこなちゃんやゆきちゃん、そしてあの人にいつも助けてもらってる。
 そんなわたしでもあの人の側にいたい、ずっと隣で、ずっと一緒に
 わたしはリボンを丁寧に出して掲げる。これはあの人にもらったもの
 これを付ければあの人が力を貸してくれそうな気がするの
 だからお願い、わたしに勇気を貸してください