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「つかさってバイトもしてないしさ、専門学校だから特に勉強ってのもいらないはずだろ!?
それなのにそんなに用事があるかよ!!」
気付くとオレは語気を荒げていた。
「オレだってな、みんなと会える最後の週だからバイトをいつもよりは減らしたんだぞ!
それなのに! それなのにな!―――」
「ごめんシン、今から殴る」
不意を付かれた。話してる途中ってのあったけど、何よりこなたがオレを殴るはずがないという、その認識が一瞬の油断を呼んだ。
そしてこなたにはその僅かな時間で十分だった。
「がはっ」
殴る、そんな生易しいものじゃない蹴りが頬に入り、オレの体は横に倒れる。
口こそ切らなかったものの、今の蹴りはかなり本気というのが、それこそ痛いほど分かった。
ただ………、なんでだ?
「シン、キミは変わらないんだね………。最初に会った時と一緒だよ」
「なっ?」
こなたの冷酷な言葉がオレに襲い掛かる。
こなた目ははるか天空からオレを蔑んでいた。
「なんだと!?」
だから怒りがきた
「だって、そうでしょ?」
こなたは怯む様子も見せず、冷ややかに緑色の瞳でオレを見てくる。
だがオレもそんなのに怯むほどヤワに出来てない。
「変わった、って言ったのはアンタ達だ!!」
「うん、じゃあ気のせいだったんだね」
なんでそんなこと言うんだ!?
「ユル〜クなったって」
「言ったけ?」
お前が言ったんだよ!!
「この世界で生きていけるって」
「私は言ってない」
言ってくれたんだよ、オレの大切な人達が!!
「この世界で暮らしていけるって」
教えてくれたオレの愛しい人が!!
「変わってないよ!!!」
いきなりのこなたの叫びにオレは驚く。
よく見るとこなたの目にはうっすらと光るものがあった。
「なんにも、変わってないよ………。
他の人のこと、なんにも考えられてない………」
「っ!!」
さっきの蹴りなんかより、今の言葉の方がはるかにオレにダメージを与えた。
オレが自分勝手なままだって………?