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次の日、オレは案の定睡眠不足に陥り、夢の世界に出入りしていたけど、この時期なので特に注意される事もなく、放課後を迎えた。
「シーン、これからいつものファミレスに行くんだけど、あんたもどう?」
相変わらずの早さで、隣のクラスから来ていたかがみが声を掛けてくる。
後ろにはこなた、みゆき、そしてつかさもいた。
どうやらつかさは今日は空いているらしい。
「悪い、オレ今日バイトなんだよ」
しかしなんというデスティニー、オレの方に予定があるのだ。
なんだよ!? オレが何か悪い事した………
……したな、うん
どうやら神様というヤツはオレが思ってる以上に器が小さいヤツらしい。
ここで物語の主人公なら『これも恋の試練!』とかいって燃え上がるんだろうけど、
あいにくオレはそんな性格じゃないし、何より主人公じゃない…別に深い意味はないからな
「そ、そうなんだ、シンちゃんがんばってね」
つかさの顔が残念そうに見えるのは、オレの気のせいだろう。
そもそもつかさは誰かが遊びに来られなくなったら、大概こんな顔をする。
お人好しすぎる
そんなんだから、勘違いするヤツらが増えているってのに
そこまで考えて自分もその1人だと気付き、心の中で溜め息を吐く。
「ああ、また都合が付いたら行こうぜ」
皆でとは言わなかった。
そりゃ、こいつ達とわいわいやるのは楽しいけど、今のオレは無性に現在頭を撫でている少女と2人っきりになりたい。
「じゃあ、また明日ね、シン」
「失礼します」
「あっ、わたしの夕飯はいるからね〜」
口々に挨拶を別れの挨拶を掛け出て行く少女達。
「シンちゃん、ばいに〜☆」
つかさが笑顔で手を振ってくる。
オレは嬉しいと思う反面、今日のシフトを考えた喫茶店のマスターを恨んだ。
「はぁ」
皆の、つかさのいなくなった教室でオレは溜め息を吐く。
ここ数日はこんなのばっかしだ