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「う、うーん………」
わたしは小さく呟いて目を開ける。
最初はぼやけてた視界がだんだん鮮明になってきて、見えたのは見慣れない天井………。
そっか、わたし陣痛を起こして、それで………。
「つかさ! 気が付いたのか!?」
声がした方向に首だけ向けるとシンちゃんの姿が見えた。
「あはは、シンちゃん目にクマが出来てるよ♪せっかくのハンサムが台無し〜」
「馬鹿! ……誰のせいだと思ってんだ!?」
わたしは驚いて目を見開く。シンちゃんの怒声に驚いたんじゃなくて、シンちゃんの目がいつも以上に赤くなっていることに。
「……もう麻酔が切れてるはずなのに、なかなか起きなかったし………」
「えっ、わたしどれくらい寝てたの?」
「……二日だ」
二日って…ひょっとしてシンちゃんそれまでずっとわたしの側に?
ぎゅっ
「シ、シンちゃん、どうしたの!?」
私はいきなり抱きつかれて驚きの声を上げる。
しかもシンちゃんの様子からいつもみたいに、ふざけて抱きついてきたという風でもないし…どうしたんだろ………?
「俺怖かった………」
「えっ?」
「ひょっとしたらつかさは俺を置いていっちゃうんじゃないか、そんな事思ってさ」
シンちゃんは崩れるようにわたしをさっきより強くわたしを抱きし、震える声でそう言ったの。
そんなシンちゃんの頭にわたしはそっと手をのせる。
いつもシンちゃんが私にしてくれるみたいに。
「大丈夫、わたしはシンちゃんを置いてどこにも行かないよ」
「……うん」
かちゃ
少し開いたドアの隙間から、お母さんが見えたの。
お母さんは少し驚いた顔をしたけどすぐに笑って、シンちゃんに気付かれないようにドアを閉めてくれたの。
だからわたしはシンちゃんを強く抱きしめ返したの。