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「よし、このコンロならチャーハンが上手く出来そうだな」
「え〜と、グレートチャーハンだったっけ? あれすっごく美味しいよね」
「チッチッチ、グゥレイト!チャーハンだ!」
シンちゃんの得意料理の一つ。
なんでも元の世界で伝説級のチャーハン作りの人のレシピらしいの。
言い出したのはわたしだし、それに負けないのを作らないと!
「じゃあやるぞ!」
「お〜!」
トントントン
リズム良く響く、包丁の音。
ぐつぐつぐつ
味が良くなる、煮立つ音。
「つかさ、手伝おうか?」
「じゃあ、このスパイスを今から2分後に入れてもらっていい?」
「わかった」
大好きな人と一緒にご飯作り。
夢みたいだけど夢じゃない
いつからだろう
夢みたいな状況になっても、それが夢とは思わなくなったのは
それはきっと現実になってきてるから
シンちゃんと色々なところにいって、色んな思い出を作って、恋人同士として過ごしていって、そしてあとは
時計を真剣に見てるシンちゃん。
その横顔はとっても格好良い。
シンちゃんはどうなんだろう?
夢じゃなくなったのに、わたしは今でもどきどきしちゃってるよ
わたしだけ?
シンちゃんはやっぱりそんな馬鹿な考えはしないのかな
「シンちゃん!」
「ん?」
スパイスを入れたと同時にわたしは大きな声で大好きな人に呼びかける。
「大好きだよ」
「オレもだ」
あのシンちゃんがあっさり答えたのでちょっとびっくり。
「この次の言葉はもうちょっとたったらさ、絶対に言うから待っといてくれよな」
赤くなってそう言ってくるシンちゃんにもっとびっくり。
わたしだけ、じゃなかった
シンちゃんも一緒のことを想ってくれてたんだ
どうしよう、お料理してること忘れちゃいそう